言葉の風景
譚 佐強
急速に普及するインターネット
 最近、中国の新聞・雑誌などのインターネット関連記事に、「上網shangwang」という言葉が盛んに出現する。「」とは、「上学=学校に行く」「上班=職場に出勤する」などのように、どこかに出かけることであり、「」とは「網絡」、すなわち「ネットワーク」の略である。つまり、「上網」とは、「ネットワークに出かける」、または、「インターネットに接続する」といった意味である。この言葉には適当な英訳や和訳が存在しない。それは、この言葉が中国では非常に寛い意味で使われているため、これをひとことで言い表す適当な英語や日本語が存在しないためである。私の手元に『跟我学上網』と題したインターネット入門書がある。これなどはさしずめ「さあ、一緒にインターネットをやってみましょう」とでもいった意味であろう。
 天津に住む私の姉の家から電子メール・アドレスを取得したとの知らせが入ったのは、私が日本でメール・アドレスを取得してから、わずか3年後のことで、中国でインターネットが予想以上に急速に普及していることをうかがわせた。最近では「
寛帯kuandai=ブロードバンド」による高速インターネット接続も行われるようになり、ことインターネットに関しては、日本にあまり遅れをとっていないようである。
 パソコンがまだ高級商品である中国のインターネット普及に一役買っているのが「
網●wangba」と呼ばれる「インターネットカフェ」ではないだろうかと思う。最近では地方の小都市の路地裏などでも「網●」をよく見かけるようになった。これとともに、「網●」に入りびたりとなる若者も出てきた。子どもが「網●」に通うため、家の金を持ち出して困っているという親の投書が新聞に載っていたのを見たことがある。青少年のインターネット漬けが新たな社会問題として浮上してきたようだ。(翻訳業)

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